2009年2月3日

東海旅客鉄道株式会社(JR東海) 葛西敬之氏 講演会

講演内容
(Ⅰ)東大生は、一般的にリーダーとしての貢献することを期待されているが、その上で必要な要件とはなにか。
(Ⅱ)大学で学ぶべき、学ぶことのできるものはなにか。
(Ⅲ)自身のキャリアをどう積んでいくべきか。

概要
葛西会長にはまずご自身の経験談を話していただき、次に一般的な視点からリーダーシップのあり方について語っていただきました。 まず、人間の成長過程を「幼虫」「蛹化」「蛹」「羽化」「成虫」の5段階に分け、それぞれの時期に葛西会長ご自身がいかに「学び」、「思い」、「行った」のかについて、ご自身の経験を踏まえながら話していただきました。 基礎を学び、無限の可能性を限定していくプロセスであった「幼虫」の学生時代。国鉄入社後すぐにその輝きは過去のものであったことを感じとり、国鉄に残るべきか、それとも国鉄から飛びだすべきかを迷い、自身の今後を模索した「蛹化」の時代。アメリカ留学から帰国し、激務の中で実務を学び工夫を凝らし、仕事に喜びを見出すようになった「蛹」の時代。国鉄の経営が崩壊する中で世の中の制度を学び、昼は実務をこなしながら夜は民営化の為に奔走するという二重生活を送り、既得権益と戦った「羽化」の時代。JR東海発足後、大局を見通しながら、自由に経営を進めてくることができたという実感のある「成虫」の時代。葛西会長の人生のそれぞれの局面について、興味深いお話をはさみながら力強い言葉で語っていただきました。

続いて政治と経営における意思決定のプロセスの違いについても触れながら、JR東海の今後の展望、リーダーに求められる資質についてお話しいただきました。 リーダーシップの構成要素は「着想・方向決定能力」「企画立案能力」「統率・実行能力」の3つの能力に分類されると分析され、すべての能力を一人が兼ねるのではなく、異なった能力をもった人達がうまく組み合わされることで組織は整然と動いていくとおっしゃられました。

また日本の和を尊ぶ文化の中で「中に背を向けて、外に向けて立つ」指導者の重要性について触れられました。日本では定められたルールのなかで一番いいパフォーマンスを上げることが立派だとされる一方、欧米では自分がルールを作ることで一番有利な立場に立つことができるという考えが一般的になっている。真のリーダーは自分のルールで仕事をすることを考えなければならないなどのお話をいただきました。 ここでは断片的に葛西会長からいただいた言葉をご紹介することしかできませんが、他にも実体験に基づくが故に強いメッセージ性をもったお話を幾つも伺うことができました。また、質疑応答にも熱心に答えていただきました。